目次
- ○ 護身術とお酒の関係
- ・巻き込まれる可能性がある事件事故
- ・人ごととは言えないお酒の脅威
- ・飲酒運転にも要注意
- ○ お酒を飲むと人体はどうなるのか?
- ・運動能力は必ず低下する
- ・運動機能の低下
- ・状況判断力の低下
- ・認知機能、集中力、記憶力の低下
- ・平衡感覚の低下
- ○ 護身術インストラクターの実体験
- ・これまでお酒のトラブルにはどの程度遭遇しましたか?
- ・電車で3回も?どのような状況ですか?
- ・セキュリティ時代に危険だったことはありますか?
- ・お酒関係で気を付けてたことはありますか?
- ・自分が飲む上で何に気を付けたら良いですか?
- ・相手にはどう注意すれば良いでしょうか?
- ○ 終わりに
護身術とお酒の関係
護身術とお酒は切っても切り離せない関係と言えます。
なぜなら、飲酒状態にある人間は犯罪行為を行う可能性が高くなる───というのが統計からも分かっているからです。
どのような犯罪に巻き込まれる可能性があるか、もう少し詳しく考えてみましょう。
記事の後半では自知護身インストラクターが経験したお酒にまつわる護身術の実体験を紹介いたします。
巻き込まれる可能性がある事件事故
2011年発表のデータですが、関東運輸局管内の集計によると、駅で起きた人身傷害事故の約6割以上が酩酊状態によるものとされています。
また、日本民営鉄道協会によると2011年に発生した駅員などに対する暴力行為の7割以上の加害者が飲酒状態だったと発表しています。
他にも一般的な統計として多いのは飲酒状態による粗暴行為(暴行・傷害・脅迫・恐喝等々)や窃盗、性犯罪に及ぶケースも多くなります。
人ごととは言えないお酒の脅威
上記は日常にあっても巻き込まれる可能性が高い犯罪です。
気をつけていても帰り道や電車などで遭遇する可能性はありますし、友人や家族が巻き込まれる場合はもちろんのこと、油断してはならないのは自分自身が起こしてしまうことも肝に銘じなければなりません。
飲酒運転にも要注意
自分が飲酒運転を絶対にしない、のはもちろんですが巻き込まれないためにも注意を払う必要があります。
あからさまにふらふらしているのを車の後ろから見たらわかるかもしれませんが、歩いているときなどは1台1台を注意深くみたり、というのは現実的には難しいです。
なので少なくともながらスマホなどのケータイに注視していたり何の気も留めていな状態ではそもそも反応することができないので、少なくとも注意を外側に向けておくなどの護身術では基本のことが大切になります。
常に自分に起きるかもしれない、という意識を持ち身の回りに注意する必要があります。
起きるのは一瞬、怠ると一生ものの被害に合う可能性がある点に気を付けましょう。
お酒を飲むと人体はどうなるのか?
そもそもお酒を飲むと人体にどのような影響があるのか、護身術の視点から考えてみたいと思います。
運動能力は必ず低下する
これは自分に現れる状態として知っておかなければならないことですが
必ず身体の機能は低下します。
(長い目でのお酒が健康をもたらす、という面での意味は除きます。即時的に現れる効果としてここでは低下する、と定義しています。)
体内にアルコールが入り血中アルコール濃度が高くなると中枢神経が麻痺を起こしてきます。
例えば痛みの緩和や寒さの緩和もこれによって起こるので一概にデメリットだけではないことも否定はできないですがそれ以上に護身の観点では気を付けるべき影響が多々あります。
運動機能の低下
お酒を飲んで酔いが回った時に、力が入りずらいという経験をされた方は多いのではないでしょうか?
もし実感したことがない人は、お酒を飲んだ後に手を強く握ってみると力が入りにくいということに気が付くはずです。
この力が入らない、という状態は抵抗しなきゃいけない緊急時、とっさに誰かを守る際に力を出さなければならない場面では大きくマイナスの影響を与えることは想像に難しくありません。
また、純粋なパワーだけでなく運動機能という意味では正確性も失われます。
想像してみてください。酔いが回っているときに縫い物の針に糸を通すなんて至難の業です。
ですが護身術では最悪の場合致命的なダメージを避けるために攻撃をかわしたりこちらが最低限反撃を入れなければならない場面がありますが、まさに正確性が問われる瞬間なのです。
状況判断力の低下
飲酒運転で事故を起こしてしまうケースでは、この判断力の低下も挙げられます。
「今この状態で運転して大丈夫か?」
「ブレーキを踏もうとしたが間に合わなかった」
「逃げればなんとかなる」
正常に考えれば自制し、誤ったリスクを取らない判断ができたかもしれません。
これは護身の観点でも全く同じ。
例えば自分が何かに巻き込まれそうな時、事態は一刻を争い、素早い判断が求められるわけですがこの時に泥酔状態、酩酊状態で正確で迅速な判断はほぼ下せないでしょう。
少しの酔いでも影響があります。
また、酔った人間のいうことを第三者が聞きいれてくれますか?
認知機能、集中力、記憶力の低下
そこに何があって誰がいるのか、普段なら視界に入ったり聴覚などから情報を得て認知できる情報もその収集能力は低下します。
これは普段の生活では大きく影響はないかもしれませんが緊急時では当然不利になります。
また、集中力が低下するということはすぐに他のことに意識がいってしまうのでこれもまた危害を加えようとするものにとって有利に働いてしまう要因となります。
そして記憶力の低下です。
護身術に記憶は関係ないのでは?と思われる方もいるかもしれませんが
例えば初めて来た建物や部屋の出入り口を把握することや、さっき見かけた人が場所を変えても別の場所について来ている、ということを記憶しておけるのは大事なことです。
お酒が入っていると、この記憶する能力や記憶を引き出す能力が低下してしまうのが護身術的では嫌なことなのです。
平衡感覚の低下
お酒を飲むとフラフラする、というのはよくある話ですし経験したことのある人は多いでしょう。
この平衡感覚の低下は純粋に戦闘力の低下に直結します。
昔、ジャッキーチェンの映画で「酔拳2」が流行りました。(今の世代は知らない人も多いかも?)
酔えば酔うほど強くなる、なんてフレーズがありましたが、あれは映画の中だけのエンターテイメントです。
実際の酔拳はお酒は飲まないそうですし、酔っている動きで油断させるまたは動きの中に攻撃を偽装したり歩法が取り入れられたりと本当にフラフラしているわけではないことを念のため説明しておきます。
現実世界で生きている我々はお酒を一滴でも飲んだ瞬間に体力ゲージや戦闘力のバロメータがどんどん減っているという認識でいましょう。
護身術インストラクターの実体験
ここではナイトクラブでセキュリティ経験のあるOgaインストラクターにお酒にまつわる危険な場面についてインタビュー形式で聞いてみました。
これまでお酒のトラブルにはどの程度遭遇しましたか?
日常生活で電車の中で3回と、昔クラブセキュリティをやっていたころは多すぎて数えてません(笑)
どの人も、共通してお酒の影響で性格が凶暴になっていると思いました。
また、女性が近くにいたりするといいとこを見せよとしたり恥をかかされたとカッとなって喧嘩する男性などもいました。
電車で3回も?どのような状況ですか?
もう全員酔っぱらいです。
男性の怒鳴り声が聞こえてふと先を見ると酔った中年男性と少し若そうな男が言い合っている。
周りの人はかかわりたくないからサーッと周辺をあけてました。
まるでモーゼのように。
中年男性が蹴ったりしていたので近くにいた見ず知らずのサラリーマンの男性と止めに入りました。
助けられた方も「お兄さんはね…正しいよ…ヒック…正しいよ~」というように完全に酔っぱらいでした。
他にも周辺に怒鳴り散らしている酔っぱらいの男性がいて、自分は関わるつもりがなかったんですけど連れが止めに入って、なぜか最後は自分が交番までその男性を連れていってました(笑)
セキュリティ時代に危険だったことはありますか?
今思えばいくつもありますね。
刃物の遭遇は奇跡的になかったですが、炭酸の入ったお酒のボンベを振り回されたり、複数人が同時に乱闘を起こすなんでザラにありました。
殴られたこともあります。(全然効かなかったですが…)
その全員が確実にかなりのお酒が入っていました。
どの場面でも共通して言えるのは、歯止めが利かないことです。
お酒のせいでタガが外れているのか、全力で暴れてくるし全力で抵抗します。
あとは沸点が低い。すぐ怒りやすくなる。
酔いすぎて入店拒否することとかありましたが、お断りすると
「なんでダメなんだよ!」
とかいってキレる人もいました。いや、そうなるからダメなんだよって(笑)
お酒関係で気を付けてたことはありますか?
自分はほとんどプライベートでも飲まなかったですね。でも今にしたら飲んでた方です。
週に1度あるかないかくらい。
どうなるか、というのを嫌というほど見てきたしあの頃は「覚えてろよ」とか脅されることも少なからずあったので酔った帰り道が怖いので。
ほとんどは口だけで何もないんですけど、やはり油断はできない。
あとは19、20歳の時に自分で限界まで飲んで飲むとどうなるのかといったことも体験しといたのは大きいです。
一度酩酊状態になったことがあって…記憶はなくなったことはないですが、結構自分でもやらかした…と思うことがあってそれ以来どんなに飲んでも自制するようになりました。
今は付き合いで飲むことはあっても自分で買って呑む習慣がないんですよね…つまらない男です(笑)
呑まない時は2~3か月平気で飲まないです。多分一生禁止されても特に問題ないです。
むしろそれに慣れちゃって、飲んだ時に力が入らないとは判断力低下をすぐ感じると
「あ、まずいな」ってなります。
MOSSANインストラクターも全然飲まないですね。
やはり同じ考えなようで。
自分が飲む上で何に気を付けたら良いですか?
一番は自分を知ることです。
自知護身と謳っているように、自分をコントロールできないとダメです。
どのくらい飲むのと酔いが回るのか、これ以上飲むと危険だな、とか
そこで自分をコントロールすることはもちろん、飲んだ後どのようにリカバリーするのが自分にとって良いのかを知るのも大事です。
例えばお酒を飲んだ時もそのあとにしっかり水分を取ってアルコール濃度を低くしておく、など。
そして飲んでしまったときこそ自分の意志を強く持ち、争いは避ける。
この精神的な強さは多分経験するしかなく、また信念がないと難しいと思います。
相手にはどう注意すれば良いでしょうか?
正直、飲酒運転とかは見極めるのは難しいと思ってます。
急ハンドルを切られたら対応できるかは運次第です。
それこそ日ごろからフィジカルを鍛えて反応スピードを上げてとっさの時に動けるようにしておくなど、それくらいしか可能性を上げられないかなと。
自分は曲がり角で自転車に轢かれそうな時に避けたことがあるのと
MOSSANインストラクターは車に後ろから轢かれたことがあり無傷だったようです(笑)
どちらも酔っぱらいではないんですが、予想を超えて急に起きた出来事というのは少し似ています。
そんな話は互いにまだまだあるので、教室でも是非お聞かせしますよ(笑)
そして酔っぱらいなど日常では、関わらないことが一番です。
相手は覚えているかもわからないし相手するだけ時間の無駄です。
でももし連れや家族が巻き込まれている、あるいは業務でどうしても避けられない場合は
まずしっかりと相手や周りを警戒します。そして物腰はあくまで柔らかくかつ堂々と、本当にどうにもならない時には強く出たりもしますがまずは喧嘩にならないように気を付けてください。
それでも本当にいざという時になったら相手は自制が利かないということを踏まえて全力で抵抗する必要があるので、覚悟を決めなければなりません。
その最終手段として護身術を知っておくのが自信につながります。
ここでは具体的な方法は割愛しますが、技を知っておくと心の余裕が生まれます。
終わりに
お酒というのは娯楽でもあり、嗜みでもあり、ストレス解消、はたまた薬ともなり我々の日常では切っても切れないものです。
そのために飲みすぎる人が一定数出てくるのもまた事実で、そのせいで事件や事故がおきるのもまた悲しい事実です。
その事件事故を根本的に社会から減らすことはもちろん大事ですが、起きる可能性がある脅威(リスク)をコントロールすることは自分たち一人一人ができることです。
外側に注意を向けることから始まり
身体の運動機能を向上させる
そして緊急事態の護身術を身に付けることは自分のみならず他者を守ることにもつながります。
もし自知護身の護身術に興味のある方は是非ご連絡ください。
遠方の方でも簡単なご相談等でしたらお受けできますし、トレーニングの提案などは可能です。
お酒にまつわる実際の対処経験のあるインストラクターも自知護身にはいますので是非お待ちしております。