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2021.04.23 |ブログ

型や演武は護身術と全く別物!?

護身術というと


どうしてもイメージするのは型動作や万が一の状態や襲われた時に対処する華麗な技を想像していませんか?

それもトレーニング方法の1つではありますが、それが護身術であると思い込んでいる方が大半であるのが現実です。

しかし、護身術インストラクターとして現実的なことをお話しすると、誤解を恐れずに言えば“現実は全く思い通りにならない!”

とお伝えしています。

どういうことなのか詳しく説明していきましょう。

 

護身術について知らない方や、護身術の偏ったイメージを持っている方に向けての記事になっています。

目次

型はあくまで型動作

近年では動画やSNSの発達もあり、護身術の動画が多く見れるようになりました。

その影響もあって、
護身術とはこういう技法なんだ!と目に入りやすくなりました。

例えば、
首を絞められたら…〇〇する!
後ろから抱きつかれたら〇〇する!
殴られそうになったら〇〇する!
などなど

しかし、それが現実でも思い通りにできるのか?となってくると話は別です。

なぜなら、動画やメディアなどでお見せしているものの大半は、その動作をわかりやすく噛み砕いた約束練習であったり、あるいは興味を惹くパフォーマンスであるからです。

型は単なる動作練習

こんなことを言ったら誤解を招くかもしれませんが、型はそのまま応用できるから教えているわけではありません。

型とは、
①そもそもの身体の使い方を知る為
②反復練習することにより身体に覚えさせる

これが主な理由であると考えています。
やはり勘違いしやすいのは、これを使えばいざそうなっても対処できる!と思い込んでしまうことです。

例えばボクシングのワンツーだってそうです。
ワンツーはジャブストレートのことを指しますが、
相手の鼻であったり顎を狙って拳を打っていきます。

まずワンツーが正確に打てることを練習しますよね?
それでじゃあ次に「実際に動いてる相手にワンツーを打ちましょう」
とやってみるとこれがなかなか難しいものです。

相手は抵抗してくるし避けるし反撃してくるかもしれない。

ワンツーを使うにはその状況に応じて駆け引きやだまし討ちなどの応用が必要ということです。

これは型の練習においても全く同じことが言えます。

指導員も実は理解してないケース

筆者自身も体験してきた身ですが
特に厄介な問題だと感じている点は、護身術を教えている人間がこの型動作を教えて満足してしまっている点にあります。

何も護身術について知識のない人間が型を教わったら
これが使えるんだ!と思い込んでしまうでしょう。

そしてその型を上手にすることに必死になり、実際の人間の力がどれくらい強いものかや、リアルな現場でその型を出すことの難しさを説明してくれないように思います。

それはひとえに、インストラクターが実際の現場を知らず、また技を実践したことがないからであると考えられます。

合気道の達人が出した技とは?



こちらの動画は合気道の達人と呼ばれた塩田剛三先生と、板東英二さんが共演した時のVTRです。

迫力のある演武のあとに板東英二さんが塩田剛三先生の胸ぐらを掴みます。

おそらく番組進行上そのような展開があることは予想されていたと思うのですが、事前の打ち合わせなしに板東英二さんに不意に胸ぐらを掴んだように見受けられました。

そこで合気道の達人、塩田剛三先生はどんな合気道を見せてくれたと思いますか?

華麗に投げる?
関節を極める?
上手くいなす?

実戦経験を数多積んでいる塩田剛三先生が咄嗟に返した技術は、掴んでいる相手の関節に圧をかけながらアゴに平手打ちを食らわす、でした。

私たちが良く目にする型ではなく、その場に則したリアリティのある技を出したのは、これが目指すべき状態であるのだと感心させられました。(現代の護身術的には掴まれただけで殴り返すというのはかなりアウトですけどね笑)

それでも型練習をやる意味

それでも型練習をやる意味とはなんでしょうか?

それは格闘技と同じではないかと考えられます。

総合格闘技を始めレスリングやブラジリアン柔術などあらゆる格闘技でも
テイクダウンや関節技などの型練習を行っているところは多いです。

これは正しい形を身につけるという目的もありますが

選手や競技者たちが体力的に精神的も追い込まれて最後に頼れるものは自分が練習してきたもの以外無いからです。

護身術の世界では、相手に襲われてパニック状態かもしれませんし、走って逃げてその後に追いつかれて仕方なく戦うこともあるかもしれません。

その時に上手くいくかは別としても
正しい形が身についていなければ絶対にできないと断言できます。

そしてその成功確率をなるべく上げる為に行うことは、その型を出すための駆け引きや騙し合いなど、更なる応用が必要になります。

つまり、型が使える使えないの話ではなく、練度ということになってきます。

演武はあくまで型の習熟度

ここでいう演武とは、様々な武道で行われている一対多数などを指すこととします。

例えば合気道や古武術を例に取ると、しばし上級者の演武が行われているかと思います。

一人の人が何人もバッタバッタとなぎ倒したり絶え間なく技を掛けたりしていきます。

これは見ているだけでもかなり見応えがあります。

ただ、これを実戦でも同じと考えると少し違います。
合気道や古武術に限らず、護身術を前提にしているところですら
護身術の演武とリアルな護身術の違いをしっかり教えていないところも見受けられます。

演武がどのように護身術に役立って、何が現実の護身術と違うのか?解説していきましょう。

演武で鍛えられるものとは?

演武をやる意味がない、とは決して言えません。

なぜなら、演武は簡単に真似できるものではありませんし、多くの人に型を実演するのに非常に有効であるからです。

技を掛ける点での①集中力
多人数や繰り返し行える心肺機能や筋持久力などの②体力
相手の動きを見て型をしっかり出せる③判断力

ざっと挙げただけでもこれらがなくては演武はできません。
これらを高められるトレーニング方法の1つとして演武はかなり有効であると言えます。

演武と現実で決定的に違うもの

演武とリアルで違うものとはなんでしょうか?

それは技を掛けられる相手の意思です。

当然ですが、演武は観せるために行うもの、言い換えればショーです。

攻撃をしてくる人間は決まった動きをしている場合もありますし、一定の攻撃をして反撃をしない取り決めや暗黙の了解であることが大半です。

でなければ演武が成り立ちません。

このショーを現実で同じことをしようとしたら痛い目を見ます。
逆を返せば、相手が絶対倒してやろうとか反撃してやろうという“意思”が明確になればなるほど演武は困難になり
リアルな泥沼の戦いが始まります。

そう、それこそが現実です。

演武も型もやる意味とは

演武と型は、それそのものが護身術であると勘違いしなければ

演武は体力、集中力、判断力を身につけるのにかなり良いトレーニングになりますし
型も正しい形を身につけるため、緊急事態でも咄嗟に出せるように、また追い込まれても振り絞って出せることは大事であると言えます。

ちなみに当団体、自知護身では演武はやりません(笑)

型は習得させるために行いますが
演武までいくと型のための型練習になってしまいやすいからです。

正しく護身術に活かしましょう

いかがでしたでしょうか?
古くから行われている練習方法や指導方法として型や演武は存在しています。

その集約されたポイントを踏まえれば
護身術にもきっと活かすことができるでしょう。

ただ、それができるから護身術そのものにも使える!対多数が強くなる!と間違って認識してしまうのは非常に危険です。

また、我々指導員はそれを受講している人に伝えなければなりません。

今回は型と演武についての解説でした。
護身術が正しく広く普及することを自知護身は願っています。