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2020.05.28 |護身術テクニック

ナイフに対する護身術【決定版】

目次

はじめに

日本では、刃物による事件が後を絶ちません。

護身術において基本的な刃物への対処とはどういうものなのかを説明していきます。

日本では銃器の所持が許可が必要な分、安価で誰にでも手の入りやすく、かつ効果的に殺傷能力のある刃物による事件が多いというのも多分にあります。

今回は、刃物による事件に

“巻き込まれてしまった”または
“巻き込まれる可能性がある”

そんな時の護身術の基本的な考え方と対処方法をお伝えしていきます。
大前提として、未然防止と状況観察で“巻き込まれない”ことが優先となりますが万が一それらを突破されてしまった時のお話となります。

よって今回の記事では
・逃げることのできる場合
・逃げることができない場合
・職務、立場上逃げれない場合
を対象にまとめています。

はじめに断っておきますが
現実は映画やドラマのように華麗に、かっこ良く身を守ることはできません。

現実は巻き込まれないための下準備と
生き残る為には泥臭く、リアルで時には凄惨な状況からも脱出しなければならない

ということは肝に銘じておいて下さい。
(以下自知護身で教えている内容となります。無断転載や引用を禁じます。)

基本的な考え方①
逃げることが可能な場合

護身術に抱える多くの方のイメージは
今回の刃物を持った相手を例にすると

“いかに相手を制圧するか”
“刃物に対してどのように戦うか”
“どのように攻撃し防御するのか”

このように考える方が非常に多いです。


ですが我々は必ず教えることがあります。
それは、
『相手と対峙した時点で、自分は生き残るか死ぬかの土俵に上がる』

ということです。


どんなに技を知っていようとも
力があろうとも
自信があろうとも

刃物を持った人間の目の前に立てば負けて殺される可能性は0ではなくなります。むしろ100に近くなるかもしれません。


それが決して悪いことではありません。
逃げれないシチュエーションはもちろんあります。
戦いを選ばざるを得なくなることも当然あります。

・自分や連れが身体的に走れない(身体的要因)
・ドアや窓が施錠されていて時間がかかる(環境的要因)

これらが生起して始めて護身術の行使が行われます。

では、護身術を使う前にすることとは何でしょう?


そう、それは“逃げる”(相手と距離を取る)ことです。
自知護身で必ず教えている、三大要素があります。
以下詳しく見て行きましょう。

逃げる~Escape~

軍隊(ミリタリー)や警護(セキュリティ)の世界においても
待ち伏せなど急襲を受けたり不測の事態では、一時的に撤退することは基本的な考えの中にあります。

それは、相手がどのくらい準備しているか分からないからです。
相手が素手であるか刃物を何本持っているか、ましてや人数も分からずに戦うことは、こちらの被害規模も大きくなる可能性がありかなり無謀になります。

もちろん状況判断をして制圧する場面も無きにしもあらずではありますが

それは兵の運用方法や運による要素が大きくなってしまいます。

護身術の世界もそれは同じで

何か危険を察知した──
刃物や凶器が見えた──
襲撃者が現れた──

そのような場面では真っ先に逃げることを選択することが最も大事です。

これが実は、一番大事です。
我々が教えている護身術は全てこの“逃げる”為の手段であるということです。

隠れる~Hide~

一気に逃げることができない状況や
逃げた後の行動としては
『隠れる』というのが有効です。

可能であればこの隠れている間に

・警察などへの通報
・助けを呼ぶ等

の行動を行います。
パニック状態で誤った行動をしてしまう内の一つに
すぐ助けを呼ぶことをしてしまうケースがありますが
自分の安全が確保されていない状態で助けを呼ぶのは得策ではありません。

もちろんボタン一つで緊急通報などを行える場合はそれを行いながら逃げるというのも無理ではありませんが、緊急事態で人間は一度に二つのことをするのは訓練をしていても難しいものがありますのでご注意下さい。

立てこもる~Lock Down~

これはあくまで一時的なものだと考えておいて下さい。
あくまで逃げることが出来ない事態の最後の手段として

“鍵を掛けて相手の侵入を防ぐ”

という手段もあります。

・トイレに入り鍵を掛ける
・車に乗りロックする
・その他ドアに鍵をかける
などなど
相手とドア一枚はさむことによって自分との距離を隔てる。


しかしながらこちらは当然、ターゲットが自分の場合は、もしそれを見られていたら執拗に追いかけられる可能性もありますし
その隔たりを“壊してくる”危険性もあります。

あくまで一時しのぎでしかない点にご注意下さい。

立てこもっている間は、一番の目的である逃げるためにどうするかを常に考え、また状況に応じて通報や第三者の助けをその間に呼びます。

基本的な考え方②
逃げることが困難な場合

上記の三大要素
『逃げる・隠れる・立てこもる』
がままならない
身体的要因や環境的要因が存在した場合に

皆さんイメージ通りのいわゆる『護身術』が行使されるというわけです。
ですが、本当は
逃げる・隠れる・立てこもる段階からすでに護身術は始まっているのです。

かと言って、戦うことをどうしても選ばざるを得なくなった時は
決して躊躇しないで下さい!
第二章で最も大事なことになります。

“やると決めたら絶対に躊躇しない”


では、この章では
刃物を持った相手に対して
逃げることを選択しなかった(できなかった)場合の対処方法を紹介していきます。

こちらも武器・防具を使う

理想は相手の武器よりも強い(あるいは長い・硬い)ものが望ましいです。

ナイフやカッターなどの刃物相手に何もなしでどうこうしようと思うのは実際かなり危険です。

最近も刃物による事件が多くある中、果敢にも人を助けるために立ち向かった方が亡くなられてしまうケースも残念ながら少なくありません。

しかし当然、相手を上回る武器が持てるかというと日本では「銃刀法」「軽犯罪法」がありますのでかなり制限が厳しいのが実情です。

よってここではあくまで
今の状況から相手よりも強いあるいは長い・硬い武器や防具になるものを探す、ということであると認識しておいて下さい。

ただこちらも注意点があります。
いかに相手より強い、長いものがあってもその使い方を心得ていない場合はかえって我が身を滅ぼすことにつながりかねませんのでそこはしっかり護身術教室などで使い方やその練習をしておくのが得策です。

例)
・強度があり打撃として使えるもの
・相手の持っているものよりも長い、あるいは硬いもの
・離れていても攻撃あるいは防御できるもの

これらを咄嗟に使う場合ですが、自分に過失がなく刃物等を向けられている急迫不正の状況では正当防衛は生起する可能性が非常に高いです。

防犯グッズを準備/使用する

(※画像提供㈱エスエスボディーガード)

日本では購入時に許可がいらず、所有自体に罰則がない護身アイテムがありますが
その中でも有効なものに『催涙スプレー』があります。

ただし「所持」は少しあやしくなってくる点にご注意です。
明確な目的や理由がないと警察等の職務質問の際にかなり厳しく見られますし
もし没収されたら素直に指示に従わなければなりません。

また、強風等の天候によっては使い方を心得ていないと自分に被害が及んでしまうデメリットは要注意です。

しかしそれらを抜きにし、日ごろから使い方をトレーニングしている事を前提とすると
催涙スプレーは日本におけるかなり効果的な護身アイテムです。

上手く活用出来れば一定時間の間、相手の視力や戦意を無力化でき時間を稼げます。
後述の技術と組み合わせることも容易になってきます。


催涙スプレーと同系列での道具のご紹介として『フラッシュライト』があります。
こちらは強力な光源で相手の視力を一時的に奪う効果があり、後述の護身術と組み合わせることで有効活用できる場合があります。
ただしこちらも先端がギザギザしている物などは軽犯罪法に触れる恐れがあるので注意が必要です。

足(蹴り)を使う

続けて、武器がどうしても手に入らない・見つからない場合や護身グッズが無い場合です。(もちろんアイテムと組み合わせることも可能)

一般的にクローズアップされる護身術というと
我々護身術を指導している者の目から見ると、手を使ったテクニックが多くあります。

しかしシンプルかつ相手と最も距離を取って戦える人間の部位は「足」です。

そして大半のケースの場合、家の中などを除き靴を履いているケースが多いです。
つまり他の部位に比べると守られていることになります。(サンダル等は除く)

上半身は頸動脈や腹部などの臓器の守りをしっかり固め、蹴り(キック)を多用し
“相手を近寄らせない”
“持っている武器を落とす”

これらを狙うことが確実かつ習得までの道のりが短いと言えます。

ただし、これらも付け焼き刃ではかえって逆効果になることもあります。
蹴りは片足になる分バランスも悪くなり、当てるポイントや狙いを分かっていないとこれも怪我をする原因になりますのでご注意下さい。

護身テクニックを使う

“武器が見つからない”
“アイテムを持っていない”
“蹴りを外した、脚を怪我してる”

その状況で我々がいつも教えている護身術のテクニックが最後の要になります。

これを破られると我々に待ち受けるのは良くて怪我、最悪の場合死という現実です。
最後の要でありながらも確実に習得していないと我々に重くのしかかる現実は大きいです。

護身テクニックはそれだけ重要ということになります。

ここまで来てしまうと、バイタルゾーン(致命傷エリア)をしっかり守ることと
手先や指先の怪我をしてしまうリスクは忘れはいけません。

一人だけでなんとかしようと思わない

これは警察(POLICE)や警備(SECURITY)の方たちでも鉄則ですが
一人で対処するよりも二人…三人と人数が多い方が当然対処がしやすくなります。

これは
・役割分担ができる
・体力を温存できる
・精神的に負担が減る

ということがメリットとしてあげられます。
周りにもし人がいて、善意で力を貸してくれる可能性がゼロではない場合
躊躇せずに助けを求めることは護身の上でも大切と言えるでしょう。

その他の考え方③
職務/立場上まず自分だけ逃げられない場合等

学校や施設等に勤務していて、自分だけが真っ先に逃げられない立場の人もいます。
文部科学省から防犯指導として「さすまた」などの道具を置くように指導されたりしていますが
現場の声や現状を見てみると、“置くことが目的”になってしまうケースが珍しくありません。

より有効に、実際に使えるようにするためには組織単位、個人単位で訓練などトレーニングを行う必要があります。

また当然ながら、カラーボールや防犯ブザーと呼ばれるものに
直接的に刃物などナイフの攻撃を防いだりする能力はありません。


これらも勘違いしやすいですが、あること自体が抑止力になると思い込んでしまったり持つ事で本人が納得をしてしまわないことが大事になります。

カラーボールも当てるためには練習が必要ですし
防犯ブザーも日ごろからすぐに使える準備や電池の確認、その前後の行動をどうするか
といった事を日頃から意識しトレーニングしておかなければなりません。

どのように道具を活用し、どのように人員を使い、どのように逃げるかまたは守るべき人々を逃がすか

これらはあなたの勤務先や組織、地形や場所、構造のよっても大きく変わるでしょう。
自治体や警察等の指導に従うのはもちろんですが我々護身のプロに聞くのも一つの方法であると言えます。

防犯グッズ・道具を準備/設置する

(※画像提供㈱エスエスボディーガード)

まず、アイテムを準備していないところはそれらを揃えることから始めましょう。
これは、組織に限らず自身の自宅でも同じことが言えるでしょう。

所持では軽犯罪法に抵触する恐れがある護身アイテムも屋内での所有では法律的には問題ありません。

構造や目的に応じてアイテムを揃えましょう。

防犯グッズ・道具の使い方を練習する

(※画像提供㈱エスエスボディーガード)

アイテムを準備した後は、定期的にそのアイテムを使い訓練することが大事です。
まずは個人単位でそのアイテムを使い方、実際のシチュエーションを想定したトレーニングができるとベストです。
そして個人単位で要領が理解できれば
チームや組織単位でなど
徐々に複数人での使い方というのも訓練できると良いでしょう。

避難経路・誘導手順・対応手順の確認

対応する人間は誰なのか
誘導する人間は誰なのか
避難経路はどこなのか
どのように避難させるのか
通報までの手順
などなど

これらを理解して一人一人が対応できるようにすることで、緊急事態に迅速に対応できる枠組みを作ります。

連携を取って訓練し認識を統一する

そして最後にアイテムを使用したり個々の動きや避難経路や手順を踏まえ
チームや組織全体で連携してトレーニングし備えます。
そしてやること自体が目的ではなく
それらを全体で“共有”し“認識統一”を図ることが重要です。


当然毎回そういったトレーニングに時間を割くことは難しいかもしれませんが可能な限り個人~組織単位で行うことが職務上/立場的に真っ先に逃げることができない方たちにとっても生き残る為の最善の策です。

また自知護身ではそういった指導も可能ですので是非ご相談下さい。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

刃物による事件は残念ながらこれからもなくなることはないと予想できます。
そんな時に、これら護身術の基本的な考え方が浸透し一人でも多くの方の命が救われることを我々自知護身は願って止みません。

今回、具体的なセルフディフェンスのテクニックや護身アイテムの使い方は説明しませんでした。

文章だと非常に長くなってしまい、また伝わりにくいことから今回は省略していますが教室あるいは講習などでは実際にトレーニングを行っていきます。
また、動画などでも一部テクニック等を公開してますので興味のある方は是非ご覧ください。

以上、刃物に対するセルフディフェンスについてでした。